コラム

土木のユニフォームの選び方 – 安全性・デザイン・採用・ブランディングまで

「土木の作業着なんて、どこで買っても同じではないか?」

そう考える担当者も多いのではないでしょうか?

しかし今、土木の現場を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
深刻化する人手不足、毎年のように更新される猛暑、そして2025年6月からスタートした熱中症対策の「義務化」。これらはすべて、現場で働く人が毎日身につけるユニフォーム(作業着)の選び方に直結するテーマです。

本記事は、土木会社で作業着の調達・更新を担当されている方に向けて、「何を基準に選べばよいのか」を軸に、安全・法令対応・採用・ブランディングまでを一気通貫で整理しました。社内や経営層への説明にそのまま使える公的データも交えながら、初めての方にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること

・土木のユニフォーム選びで外せない「7つのチェックポイント」
・知っておくべき安全規格(JIS)と、2025年に義務化された熱中症対策
・作業着が「採用」「定着」「会社の信頼」にまで影響する理由
・失敗しない調達の進め方と、相談先の選び方

1. なぜ今、土木のユニフォームが見直されているのか

はじめに、土木業界が置かれている状況を、客観的なデータで確認しておきましょう。ユニフォームの選び方を考えるうえで、この「背景」を理解しておくことがとても重要だからです。

担い手不足という、構造的な課題

建設業(土木を含む)で働く人の数は、長期的に減り続けています。2024年の建設業就業者数は477万人で、ピークだった1997年の685万人と比べると約3割も減少しています。



さらに深刻なのが、年齢構成の偏りです。建設業就業者のうち55歳以上が約37%を占める一方で、29歳以下はわずか約12%にとどまっています。つまり、ベテランが大量に退職していく一方で、若手がなかなか入ってこないという「先細り」の状態にあるのです。



インフラの整備や老朽化対策、災害復興などで土木の需要は高まり続けているにもかかわらず、働き手は減っている。この状況で会社が生き残るには、「今いる人材に長く働いてもらう」ことと、「新しい人材に選ばれる」ことの両方が欠かせません。実は、ユニフォームはこの両方に効く、数少ない打ち手のひとつなのです。

土木の現場は「危険」と隣り合わせ

もうひとつ押さえておきたいのが、労働災害の実態です。厚生労働省の統計によると、2024年(令和6年)の建設業の労働災害による死亡者数は232人にのぼり、全業種の中で最多となっています。



事故の型別で見ると、「墜落・転落」が最も多く、次いで交通事故、崩壊・倒壊などが続きます。これらの災害から作業者を守るうえで、ユニフォームが果たす役割は決して小さくありません。高所作業に対応した設計や、夜間・薄暗い現場での視認性を高める反射素材など、「作業着の機能そのものが安全対策の一部」になっているのです。

土木のユニフォームは、単なる「作業着」ではなく、人手不足・高齢化・労働災害という業界の課題に直結する重要なテーマです。だからこそ「とりあえず安いもの」ではなく、目的を持って選ぶことが大切です。

土木のユニフォームを選ぶ7つのチェックポイント

ここからは、本記事の核心である「選び方」を具体的に見ていきます。土木の現場には、他の業種にはない特有の条件があります。以下の7つのポイントを押さえることで、導入後に「失敗した」と後悔するリスクを大きく減らせます。

① 安全性 ― 現場のリスクに合った機能か

土木の作業着選びで、最優先すべきは安全性です。現場の作業内容に応じて、次のような機能が必要かどうかを確認しましょう。


  • 高視認性(反射材):夜間や薄暗い現場、交通量のある場所での作業で、自分の存在を周囲に知らせる

  • フルハーネス対応:高所作業で安全帯(フルハーネス)を装着した状態でも動きやすい設計か

  • 帯電防止:静電気による火花が引火・事故につながる環境で、JIS規格に適合しているか

  • 耐久性・引き裂き強度:資材や工具との接触が多い現場で、簡単に破れない生地か



「とりあえず動きやすいもの」ではなく、自社の現場ではどんな危険があるかを先に整理することが、失敗しない第一歩です。安全規格(JIS)については、詳しく後述します。

② 暑さ・寒さ対策 ― 一年を通して快適か

屋外での作業が中心の土木現場では、夏の猛暑と冬の寒さの両方への対応が欠かせません。特に夏の熱中症対策は、後述するように2025年から法律上の義務にもなっています。


  • :吸汗速乾素材、接触冷感素材、空調服(ファン付きウェア)やペルチェ(冷却ベスト)との組み合わせ

  • :吸湿発熱インナー、防風性のあるブルゾン、保温性の高い中綿素材

  • 通年:オールシーズン対応の素材を軸に、季節アイテムを足し引きする設計



「夏だけ」「冬だけ」で個別に考えると、結果的にトータルコストが高くなりがちです。年間を通じた着用計画を立てることで、費用対効果が高まります。

③ 動きやすさ ― 作業の邪魔をしないか

土木作業は、しゃがむ・腕を上げる・重い物を持つといった全身の動きが多い仕事です。動きにくい作業着は、疲労を増やすだけでなく、思わぬ事故の原因にもなります。


  • ストレッチ素材による、しゃがみ・腕上げ動作への対応

  • 軽量素材による、長時間着用での疲れにくさ

  • ポケットの位置と深さ(工具・スマートフォンが落ちにくいか)



着心地はカタログだけでは判断できません。導入前に試着の機会を設けることを強くおすすめします。

④ 素材と手入れのしやすさ ― 毎日使えるか

土木現場の作業着は、土や泥で汚れることが前提です。汚れが落ちやすく、洗濯後すぐ乾く素材を選ぶことで、現場の負担が減り、清潔な状態を保てます。


  • ポリエステル主体の速乾性素材(綿100%は乾きにくい傾向)

  • 防汚加工(土汚れがつきにくく、落としやすい)

  • 色あせや型くずれのしにくさ

⑤ サイズ展開・男女対応 ― 誰もが着られるか

土木の現場でも、女性スタッフは確実に増えています。2024年の建設業の女性就業者数は87万人にのぼり、技術職の女性は近年でも高い水準で推移しています。

出典:日本建設業連合会「建設業ハンドブック2025」

男性用サイズを女性に流用するだけでは、着心地も安全性も不十分になりがちです。


  • 女性専用サイズの展開(小さいサイズへの対応)

  • 体型に合ったシルエット・丈感

  • 近年需要が高まる、性別を問わず着られるユニセックス設計





⑥ デザイン ― 「着たい」と思える見た目か

機能性が大前提ですが、デザインも無視できない要素です。後の章で詳しく触れますが、ユニフォームの見た目は採用活動や現場の士気に影響します。コーポレートカラーの反映や、ロゴ・社名の配置など、「会社の顔」としてのデザインも検討の対象に入れましょう。

⑦ 運用・管理のしやすさ ― 導入後に続けられるか

良いユニフォームを導入しても、現場で運用できなければ意味がありません。導入後のことまで考えて設計することが、長く使われる作業着の条件です。


  • サイズごとの在庫管理のしやすさ

  • 新しく入った人へ、すぐに支給できる体制

  • 支給ルールや保管場所の整理

  • 追加注文や補充への対応(小ロット対応が可能か)

3. 知っておきたい安全規格と法令(JIS・熱中症義務化)

土木のユニフォームを選ぶうえで、担当者がぜひ知っておきたいのが「規格」と「法令」です。専門用語が多い分野ですが、ポイントを絞ってわかりやすく解説します。

作業着の安全規格「JIS」とは

JIS(ジス)とは、日本の製品の品質や安全性について国が定めた「日本産業規格」のことです。作業着に関するJIS規格に適合した製品を選ぶことで、一定の安全性が客観的に保証されます。土木現場で関わりの深い代表的な規格を、表にまとめました。



JIS T8118は、作業服の静電気帯電によって起こる火災・爆発・電撃などの災害を防ぐための規格です。生地に金属やカーボンなどの導電性繊維を使い、静電気をためこまない工夫がされています。
この規格に適合した作業服には、たとえば次のような細かい決まりがあります。


  • 1点あたりの帯電電荷量が0.6マイクロクーロン以下であること

  • 金属製のボタンやファスナーを表面に露出させないこと(樹脂製ファスナーが多く使われる理由です)

  • 裏地などに帯電防止素材以外を使う場合、その面積を表面積・裏面積それぞれの20%以内に抑えること



出典:日本産業規格 JIS T8118「静電気帯電防止作業服」

このように、JIS規格に適合した作業着は、見た目だけではわからない安全性が裏づけられています。現場のリスクに応じて、必要な規格を確認しましょう。

【重要】2025年6月から「熱中症対策」が義務になりました

土木の調達担当者が今、最も注意すべき法令が、熱中症対策の義務化です。

2025年6月1日に改正された労働安全衛生規則が施行され、一定の条件下での熱中症対策が、罰則つきの「義務」になりました。これまでは努力義務(できるだけ取り組みましょう、という位置づけ)でしたが、近年の猛暑と熱中症被害の増加を受けて、明確な義務へと強化されたのです。

出典:厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」(2025年6月1日施行)

背景には、職場での熱中症被害の深刻化があります。職場における熱中症の死傷者数は年々増加し、2024年(令和6年)には1,257人と過去最多を記録しました。



出典:厚生労働省「職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」

業種別に見ると、2024年は建設業が228人で、製造業に次いで2番目に多く発生しています。屋外での作業が多い土木の現場にとって、熱中症対策はまさに最優先の経営課題といえます。

出典:厚生労働省「令和6年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」

・義務化の対象となる作業とは

今回の改正で対策が義務づけられるのは、「暑さ指数(WBGT)28度以上、または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行う作業」です。土木の屋外作業の多くが、夏場はこの条件に該当すると考えられます。

事業者には、大きく次の2つが義務づけられました。


      見つける体制の整備:熱中症のおそれがある人を早期に見つけ、社内に報告する仕組みをつくる

      対処手順の作成:症状が出た人を作業から離脱させ、体を冷やし、必要に応じて医療機関へ搬送するなどの手順を定め、関係者に周知する



これらを怠った場合、労働基準監督署からの指導や、罰則の対象になる可能性があります。ユニフォーム(空調服や冷感素材など)の見直しは、この義務に対応するための具体的で実効性のある一手になります。

※注意
法令対応については、本記事は概要の解説にとどまります。自社の作業が義務化の対象となるか、具体的にどこまでの対応が必要かは、厚生労働省の公式資料を確認のうえ、必要に応じて社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

これらを怠った場合、労働基準監督署からの指導や、罰則の対象になる可能性があります。ユニフォーム(空調服や冷感素材など)の見直しは、この義務に対応するための具体的で実効性のある一手になります。

4. ユニフォームは「経営ツール」― 採用・ブランディングへの効果

ここまで安全性や機能を中心に見てきましたが、土木のユニフォームには、もうひとつ見逃せない側面があります。それは、採用・定着・会社の信頼という、経営に直結する効果です。1章で見た人手不足の課題と、ここでつながります。

「作業着がダサい」せいで、応募が来ない時代

若い世代の求職者は、求人サイトやSNSで会社を調べる際、写真から「ここで働く自分」を無意識にイメージします。古くて野暮ったい作業着姿の写真は、それだけで「自分には合わない会社かも」という印象を与えてしまいかねません。

逆に、機能的で見た目の良いユニフォームは、求職者に「この会社は従業員のことをきちんと考えている」というメッセージとして届きます。ユニフォームの刷新は、そのまま採用コンテンツの強化にもなるのです。

統一感が、現場の信頼とプロ意識を高める

土木の現場では、自社の社員だけでなく、協力会社のスタッフが混在することがよくあります。服装がバラバラだと、施主や発注元、近隣住民から「管理が行き届いていない会社」という印象を持たれかねません。

統一されたユニフォームは、現場に一体感を生み、「きちんとした会社」という無言の信頼を伝えます。それは同時に、スタッフ自身の帰属意識やプロとしての自覚を高めることにもつながります。

ユニフォームが同時に解決する4つの経営課題

以上を整理すると、土木のユニフォームは次の4つの経営課題に同時に効く「投資」だと捉えることができます。



「作業着にお金をかけるなら他に回したい」という声もあります。しかし、これら4つの効果を踏まえると、ユニフォームは単なるコストではなく、複数の課題を一度に解決できる経営投資として捉え直す価値があります。

5. 失敗しないユニフォーム導入の進め方

最後に、実際にユニフォームを導入・更新する際の進め方と、相談先を選ぶときのポイントをまとめます。

導入の基本ステップ


      現場の課題を整理する:安全・暑さ・採用など、自社で最も解決したい課題を明確にする

      必要な機能・規格を洗い出す:現場のリスクに合った機能とJIS規格を確認する

      試着・サンプルで確かめる:着心地やサイズ感を、実際に現場のスタッフに試してもらう

      年間の着用計画とコストを設計する:夏冬を含めたトータルで費用対効果を検討する

      運用ルールを決める:支給・補充・管理の方法まで決めて、導入後に定着させる



必要な機能・規格を洗い出す:2章・3章を参考に、現場のリスクに合った機能とJIS規格を確認する
試着・サンプルで確かめる:着心地やサイズ感を、実際に現場のスタッフに試してもらう
年間の着用計画とコストを設計する:夏冬を含めたトータルで費用対効果を検討する
運用ルールを決める:支給・補充・管理の方法まで決めて、導入後に定着させる

相談先を選ぶときのポイント

ユニフォームの相談先はインターネットで数多く見つかりますが、土木という現場の特殊性を理解し、安全・機能・デザイン・運用をまとめて設計できる会社は意外と多くありません。次のような点を確認すると、失敗が減ります。


  • カタログから選ばせるだけでなく、自社の課題を一緒に考えてくれるか

  • JIS規格や熱中症対策など、安全・法令の知識を持っているか

  • 試着・サンプル提供や、導入後の補充に対応してくれるか

  • デザインの提案力があるか(採用・ブランディングまで見据えられるか)

ダイイチがお役に立てること

私たちダイイチは、1951年の創業以来、ユニフォーム一筋で歩んできた会社です。これまでに1万社以上の導入実績があり、年間145万点のユニフォームをお届けしてきました。

数多くの現場を見てきたからこそ、土木・建設の現場に特有の課題、たとえば季節性・安全性・人の入れ替わり・コスト構造などを理解したうえでご提案できます。


  • 社内に企画室・デザイナー・パタンナーが在籍:カタログから選ぶのではなく、御社だけのデザインを形にできます

  • 約150社のメーカーとのパートナーシップ:機能・コスト・納期に応じて最適な組み合わせを実現します

  • 「気づく力」のある提案:ご依頼に応えるだけでなく、まだ気づいていない課題まで一緒に考えます



「何から考えればいいかわからない」という段階でも、まずはお気軽にご相談ください。御社の現場と経営課題に合わせて、最適な一着を一緒に考えます。

まとめ

土木のユニフォームは、もはや単なる「作業着」ではありません。人手不足・猛暑・労働災害という業界の課題に向き合い、作業者の安全を守り、会社の未来をつくる「経営の打ち手」です。

選び方の軸となる7つのチェックポイント、知っておくべきJIS規格と2025年の熱中症対策義務化、そして採用・ブランディングへの効果。本記事で解説したこれらの視点を持って検討すれば、「導入後に使われるユニフォーム」に必ず近づきます。

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