コラム

【製造業】熱中症対策の実態調査2026年(100名)|工場の「屋内の暑さ」をどう乗り切るか?(ダイイチ調べ)

製造業の熱中症対策と聞くと、多くの人は「屋外の現場ほど深刻ではないだろう」と考えがちです。

しかし実際の工場現場は違います。機械が出す熱、こもる蒸気、火を扱う工程、空調の届きにくい広い空間など、屋根があっても、夏場の工場内は驚くほど暑くなります。

この記事では、製造業に特化した熱中症対策アンケート(100名)の結果をもとに、現場の実態、見えてきた課題、そして2026年に向けた改善のヒントを、初めて読む方にもわかるように整理します。

※調査結果を引用する際は「ダイイチ調べ」と表記してください。

調査概要(ダイイチ調べ)


  • アンケート名:製造業向け 熱中症対策調査

  • 調査日:2026年1月16日(Webアンケート)

  • 対象:全国/25〜55歳/男女/会社員・経営者・役員/業種:製造業

  • サンプル数:100名(男性74名、女性26名)

調査結果サマリー

細かいデータに入る前に、今回の調査でわかったことを先にまとめます。


  • 熱中症対策が必要(必須22%+部分的に必要44%)は合計66%

  • 対策が必要な職種は製造スタッフが92.4%と圧倒的

  • 対策が必要な場所は屋外71.2%・屋内71.2%が同率。製造業は「屋内の暑さ」も同じくらい深刻

  • 2025年夏に使った対策は水分・塩分補給品が62.1%でトップ、次いでファン付きウェア39.39%

  • 取り組みの課題は「効果が限定的だった」が48.5%で最多

  • 2026年に検討したい対策は、高機能冷感インナーが31%でトップ

  • 2026年に重視したいテーマは、コスト削減や効率化のノウハウが38%でトップ


ここからは、設問ごとに詳しく見ていきます。

1)アンケート対象企業の従業員規模について

勤務先の従業員数は、500名以上が39%で最も多く、次いで50名未満が26%、100〜199名が14%、50〜99名が11%、200〜499名が10%という結果でした。

製造業は、大規模な工場を持つ大企業と、特定の部品や加工を担う中小企業がはっきり分かれる業界です。

今回の調査でも、500名以上の大企業と50名未満の中小企業が上位に並び、二極化の傾向が見えました。

会社の規模によって、熱中症対策にかけられる予算も、現場の人数も大きく変わります。だからこそ、自社の規模に合った「ムダのない対策」を選ぶことが大切です。

2)ユニフォームは「全従業員に支給」が46%。一方で部分導入も42%

ユニフォーム(作業服)の導入規模は、全従業員が46%、部署・職種ごとに一部が42%、その他が12%でした。

全社導入と部分導入がほぼ同じ割合で並んでいます。

部署・職種ごとに一部については、製造業では「現場」と「事務」で環境がまったく違うため、一律のユニフォームでは対応しきれない背景があるかと考えられます。

3)熱中症対策は「必須」22%+「部分的に必要」44%で合計66%

熱中症対策の必要性については、必須で実施しているが22%、部分的に必要が44%、特に必要としていないが34%でした。

4)費用負担は会社負担が65%。投資に見合う効果が求められる

費用負担については、会社負担が65%、従業員負担が19%、会社と従業員それぞれが16%でした。

会社負担の場合、導入する側(会社側)の評価は当然シビアになります。

後の設問でも「効果が限定的だった」「コストが高い」が課題の上位に挙がっており、「価格に見合った効果がちゃんと出ているか」が重要な導入判断のポイントになっているといえます。

5)対策が必要な職種は「製造スタッフ」92.4%が圧倒的

熱中症対策が必要な職種(複数回答)は、製造スタッフが92.4%と突出していました。
次いで営業スタッフが33.3%、管理部門が12.1%、その他が1.5%です。

製造業の熱中症対策は、ほぼ「製造現場の対策」と言い切れます。どんなに良い製品を導入しても、製造スタッフの実際の作業に合わなければ定着しません。

まずは製造現場で働く人が使いやすい設計を最優先にすることが、対策成功のカギです。

6)対策が必要な場所は「屋外」も「屋内」も71.2%で同率。これが製造業の最大の特徴。

必要な場所(複数回答)は、屋外が71.2%、屋内が71.2%とまったく同じ割合でした。

ここが製造業と建設業の違いです。建設業では屋外が圧倒的な主戦場でしたが、製造業では屋内も屋外と同じくらい暑さ対策が必要とされています。

工場内は、機械から出る熱、溶接や鋳造などの高温工程、ボイラーや乾燥炉の放熱、そして空調が効きにくい広い空間など、屋内とは思えない過酷な環境になりがちです。

「屋根があるから大丈夫」という思い込みは、製造業では通用しません。屋内でも機能する熱中症対策を、しっかり用意する必要があります。

7)選定基準は「涼しさ・冷却効果」が断トツ。次に「動きやすさ」

熱中症対策用品を選ぶ際に重視する点(3つまで選択可)では、涼しさ・冷却効果を1番に挙げた人が70%と圧倒的でした。

次いで動きやすさ(軽量・ストレッチなど)が、2番目に重視する項目として35%と多くなっています。

そのほか、耐久性(長持ちする)やコストも一定の重視が見られますが、デザインやサイズ展開を最優先に挙げる人は少数でした。

ここからわかるのは、製造現場ではまず「本当に涼しいか」が見られ、次に「作業の邪魔にならないか」が重視されているということです。この優先順位を外すと、後で出てくる「効果が限定的だった」「結局使わなかった」という課題に直結してしまいます。

8)2025年夏に使った対策は「水分・塩分補給品」62.1%がトップ

使用した対策(複数回答)は、水分・塩分補給品が62.1%で最も多く、次いでファン付きウェアが39.4%、ネッククーラーが25.8%、保冷剤・冷却ベストが22.7%と続きました。

帽子・キャップ15.2%、冷感インナー13.6%、ペルチェプレート付きウェアと水冷式ウェアがそれぞれ12.1%、ファン&ペルチェ付きウェア10.6%という結果です。

9)満足度は「満足」71.2%。一方で約3割は満足していない

2025年に使った対策への満足度は、とても満足しているが12.1%、概ね満足しているが59.1%で、合わせて約71%が満足と回答しました。

一方で、あまり満足していないが27.3%、不満があるが1.5%でした。

満足している人が多数派ではありますが、3割近くが満足していないのも事実です。この「満足していない層」をどう減らすかが、2026年の改善テーマになります。

10)2025年の課題は「効果が限定的だった」48.5%が最多

取り組みの課題(複数回答)は、効果が限定的だったが48.5%で最も多く、次いでコストが高いが39.4%、運用が難しかったが19.7%、従業員の使用率が低かったが12.1%でした。

ここでも「高い」より先に「効かない」が来ています。つまり現場が求めているのは、単なる値下げではなく、実際に効果を実感できる対策です。また「運用が難しい」「使用率が低い」という声も一定数あり、導入したあとの使い方・回し方も影響していることがわかります。

11)2026年に検討したい対策は「高機能冷感インナー」31%がトップ

新たに検討したい対策(複数回答)は、高機能冷感インナーが31%でトップでした。

次いで保冷剤・冷却ベストが30%、水分・塩分補給方法の見直しが29%、作業環境改善(シェード・換気など)が28%と続きます。
最新のファン付きウェアは22%、最新のペルチェプレート付きウェアは14%、教育・研修強化は9%でした。

ポイントは、最も注目されているのが冷感インナーだという点です。これは、ファン付きウェアが使いにくい屋内工程でも着られて、かつ作業の邪魔になりにくいインナー型の対策に期待が集まっていることを示しています。

12)2026年に重視したいテーマは「コスト削減や効率化のノウハウ」38%がトップ

重視したいテーマ(複数回答)は、コスト削減や効率化のノウハウが38%でトップでした。

次いで職場環境の改善が36%、熱中症対策商品の最新トレンドが35%、夏季の安全対策事例紹介が34%と、いずれも僅差で並んでいます。

製造業の現場が求めているのは、商品の情報だけではありません。限られた予算の中で、いかに効率よく効果を出すかというノウハウが最も求められています。「良い商品を入れる」だけでなく、「コストを抑えながら現場で回る仕組みを作る」ことが、2026年の重要なテーマです。

考察

製造業の熱中症対策は「屋内も暑い」という前提から始まる

今回の調査から、製造業で成果が出やすい考え方は、次の3点にまとめられます。

1. 屋内の暑さを見逃さない

屋外と屋内が同率(71.2%)で対策を必要とされている通り、製造業では「屋内だから大丈夫」は通用しません。

機械の熱、こもる蒸気、空調の届かない空間など、屋内特有の暑さに対応した対策を前提に設計する必要があります。

2. 涼しさと動きやすさを外さない

選定基準の中心は「本当に涼しいか」「動きやすいか」です。

特に製造現場では精密作業や機械操作が多いため、動きやすさは安全にも直結します。ここが弱いと「効果が限定的だった」「結局使わない」につながります。

3. コストと効果のバランスを設計する

2026年に最も重視したいテーマは「コスト削減や効率化のノウハウ」でした。

製造業はコスト意識が特に高い業界です。やみくもに高機能品を入れるのではなく、暑い工程に絞って投資し、運用ルールまで整えることで、限られた予算でも効果を最大化できます。

まとめ

2026年は「屋内対策」と「コスパ」が鍵

製造業では、熱中症対策が必要と答えた人が66%。その主役は製造スタッフで、屋外だけでなく屋内も同じくらい対策が必要とされているのが特徴です。

2025年の課題は「効果が限定的だった」48.5%、「コストが高い」39.4%が上位。

これを受けて2026年は、屋内でも使いやすい高機能冷感インナーや、保冷剤・冷却ベスト、補給方法の見直しが注目されています。
さらに最も重視されているテーマは「コスト削減や効率化のノウハウ」です。

つまり、製造業の次の一手は「とにかく高機能な商品を増やす」ことではありません。

屋内の暑さに対応した対策を、暑い工程にしぼって、コスト効率よく導入し、運用まで整えること。これができた工場ほど、現場の安全性と費用対効果を両立しやすくなります。