Case Study

インタビュー

【独立行政法人 海技教育機構様】船員育成機関の職員ユニフォーム 映画のキャラクターから着想、デザイン性と安全性と実用性を備えたオレンジ色の新ユニフォーム

独立行政法人海技教育機構様

独立行政法人海技教育機構様は、将来船員として活躍する人材を育成する船員養成機関です。船員になるためには国家資格である「海技免状」が必要で、実習生は学科に加え、練習船を使った実技訓練にも取り組んでいます。

今回、練習船や学校で働く職員のユニフォームがリニューアルされました。本事例では、そのリニューアルに至った背景や新ユニフォームに込めた思いについて、当時の担当課でリニューアルに携わった練習帆船「海王丸」の機関長・野田様、一等航海士・山岸様にお話を伺いました。また、若手職員を代表して、三等航海士・山口様にも新ユニフォームの感想をお聞きしています。

環境配慮方針を契機に動き出した、ユニフォームリニューアル

ユニフォームをリニューアルすることになった経緯をお聞かせください。

山岸様 :

国や独立行政法人には環境負荷の少ない製品の調達が義務付けられています。これまではグリーン購入法適合外となる綿製品を選定していましたが、適合品に高機能な製品が多数あることから、環境負荷の少ないユニフォームへ移行することとしました。

実習生を意識した“親しみやすさと格好良さ”

新しいユニフォームの具体的なイメージはありましたか?

野田様 :

当機構のユニフォームは、オーダー製品を選定していた時期もありましたが、独立行政法人化や組織の統合に伴うコスト面の見直しにより、求められる条件は変化してきました。歴代のユニフォームはアイボリーや紺など多様でしたが、それぞれに利点と課題がありました。
こうした過去の経緯を踏まえ、今回のリニューアルでは次の4つを条件として設定しました。

・実習生から“親しみやすく、憧れられる存在”に見えること
 初めての乗船で緊張している実習生にとって、指導者が柔らかく、かつ格好良く見えることを大切にしました。

・実習生の学校指定ユニフォームと被らないこと
 実習生自身も学校ごとに異なるユニフォームを着用するため、色やデザインが重ならないよう配慮しました。

・上着は明るい色、パンツは濃い色にすること
 落水時の視認性を考えて上着は明るい色に。ただし、明るい色のパンツは汗で濡れると透けやすいため、暗い色にしました。

・グリーン購入法に適合したユニフォームであること
 環境配慮基準を満たすことが今回の大きな前提条件でした。
 これらの条件をもとに、実習生にとって安心感があり、かつ職員が誇りを持って着られるユニフォーム像を固めていきました。

キャラクターから着想した“親しみやすい色づかい”

具体的なイメージはどのように作られましたか?

山岸様 :

実習生から見て柔らかい印象で、なおかつ憧れを持ってもらえるような存在に見えることを意識し、まずは映画やキャラクターなどを参考に色の組み合わせを考えました。そしてどのようなユニフォームが実現できるかを具体的に検討するため、企画書を作成し、サンプル選定を依頼しました。

デザインと作業性、安全性の両立

新ユニフォームで特に意識した点、こだわったポイントはありますか?

山岸様 :

実用面では以下の点に特にこだわりました。

・身体にフィットしつつ動きやすいシルエット
 船内は突起物や段差が多く、ゆったりしすぎる服は引っ掛かりの原因になります。そこで、比較的スリムなシルエットにしながら、ストレッチ素材を採用して動きやすさを確保しました。

・必要な機能を備えたポケット配置
 船内作業で使う小物を携帯しやすいよう、標準的なポケット数と配置を確保しました。

現場の声とサンプル検証で導いた、ユニフォーム選定

どのような方法で商品を選定していきましたか?

野田様 :

当機構の職員には多様な職務があり、事務業務から現場業務まで同一のユニフォームを着用するため、選定には慎重な判断が求められます。旧ユニフォームは色落ちや着心地に関して現場から意見をいただいており、1年前から現場へのインタビューを実施してきました。これらの結果を取りまとめ、ダイイチ様へ条件をお伝えしたところ、いくつかの候補をご提案いただきました。

用意いただいたサンプルをもとに、担当課だけでなく、陸上勤務の職員にも着用してもらい、意見を聞きながら、約半年かけて検討を進めました。あわせて、これまで収集した現場の声とも照らし合わせながら担当課で協議し、

・万が一海へ転落した際にも海面で目立つオレンジ色の上着
・下着が透けにくく、汚れも目立ちにくいチャコールグレーのパンツ


という組み合わせに決定しました。安全性と実用性の両方を満たすユニフォームです。

オレンジという特徴的な色のため、反対意見もありましたが、「安全性」「視認性」という選定理由を丁寧に説明することで、最終的には理解を得ました。

多く寄せられているのは肯定的な意見

新ユニフォームを着用開始されてから周りの反応はいかがですか?

山岸様 :

2025年10月から新しいユニフォームの配布を始めていますが、旧モデルからの移行期間を設けており、現在約半数の職員が着用しています。これまでのところ否定的な意見はほとんどなく、「動きやすい」という肯定的な声を多く聞いています。

一方で、上着が明るい色であるため、汚れが目立ちやすいという声もあります。特に油汚れは洗濯しても落ちにくいことがあり、これは明色のユニフォームでは避けられない面もあります。そのため、汚れが伴う作業では旧ユニフォームの着用を認めるなど、移行期ならではの柔軟な運用を行っています。

職員であることが一目でわかる“視認性”と“着心地”

新ユニフォームで評価されているのはどんな点でしょうか。

野田様 :

以前のユニフォームは紺色だったため、実習生と見分けがつきにくく、誤って実習生に職員向けの指示をしてしまう場面もありました。今回のユニフォームはオレンジ色で視認性が高く、遠くからでも職員だとすぐにわかるため、作業の流れがスムーズになっています。

他にも、上着の胸元に入ったロゴは、光が当たると虹色に反射するオーロラプリントを採用しています。主張しすぎず上品にまとまっており、全体のデザイン性を高めています。

若手職員から見た印象はいかがでしょうか?

山口様 :

実際に着用してみると、以前のユニフォームに比べて圧倒的に動きやすくなったと感じています。船の点検ではタンクの中に入ったり、マストに登ったりと、身体を大きく動かす場面が多いのですが、その際のストレスが明らかに減りました。
ポケットが多い点も気に入っています。携帯する工具や小物の種類が多いので、自分なりに収納場所を工夫できるのでとても助かっています。

パンツについては、以前の夏服は生地が薄く、透けが気になることがありました。今回のユニフォームではその心配がなく、さらにシルエットがきれいなので安心して着られます。

奇抜なアイデアにも一つひとつ丁寧に対応

ダイイチとの取り組みはいかがでしたか?

山岸様 :

ダイイチ様の対応はとても誠意が感じられ、こちらの相談に対して真摯に向き合っていただいたと感じています。こちらからは、映画のキャラクターをヒントにしたような、やや奇抜とも言えるアイデアもお伝えしましたが、そうした提案にも一つひとつ丁寧に応えてくださいました。
時間をかけて根気強くお付き合いいただいたことで、ユニフォームのバリエーションや流行について理解が深まり、その知識は最終的な選定に大いに役立ちました。

柔軟な発想と誠実なパートナー選びが成功の鍵

今後リニューアルを考えていらっしゃる方にアドバイスをお願いします。

山岸様 :

ユニフォームは組織の顔でもあり、リニューアルには大きな責任が伴います。職員全員の要望を完全に満たすことは現実的には難しく、その中でダイイチ様は「できるだけ要望にかなう良質なものを提案する」という姿勢で向き合ってくださり、とても好印象でした。

また、真面目に取り組むことはもちろん大切ですが、デザインを決める過程では遊び心を持つことも良い方向に働くと感じています。キャラクターをヒントにした配色の検討など、柔軟な発想が結果的に実習生にも受け入れられるデザインにつながりました。

リニューアルの過程で行き詰まることがあれば、ダイイチ様のように専門性の高い会社に相談することをおすすめします。

テーマ性のあるご依頼、やりがいを感じたプロジェクト

今回のリニューアルを振り返って

ダイイチ担当者 :

お客様の中には、漠然としたイメージだけをお持ちの状態でご相談いただくケースも少なくありません。その中で、山岸様からのご依頼はテーマごとに明確に整理されており、意図がとてもわかりやすかったことが印象的でした。

今回のリニューアルは、既製品の中から条件に合うものを探すという点で、テーマや条件の難易度が高い案件でした。しかし、時間をかけて一つひとつ確認しながら進めることで、最終的にはご納得いただけるユニフォームをご提案できたと感じています。
このプロジェクトを通じて、私たち自身もユニフォームの可能性や選択肢の広さを改めて実感し、非常にやりがいのある取り組みとなりました。

独立行政法人 海技教育機構様