コラム

【運送・輸送業】熱中症対策の実態調査2025年最新版(300名)|導入効果を高める2026年の次の一手とは

猛暑が常態化する中、屋外・倉庫・車両内と暑熱リスクが重なる運送・輸送業では、熱中症対策は“現場任せ”では回りません。さらに近年は法律面でも熱中症対策が企業に求められる流れが強まっており、「何を導入するか」だけでなく「どう運用するか」が成果を分けます。

参考:熱中症対策の法改正

本記事では、運送・輸送業に特化したアンケート結果(全300名)をもとに、現場の実態と課題、そして2026年に向けた打ち手を整理します。

なお、調査結果を引用する際は【ダイイチ調べ】と表記してください。

調査概要(ダイイチ調べ)


  • アンケート名:運送・輸送業向け 熱中症対策調査

  • 調査日:2025年11月4日(Webアンケート)

  • 対象:全国/25歳以上55歳以下/男女/運送・輸送業(会社員:正社員・契約/派遣、経営者・役員)

  • サンプル数:300


調査結果サマリー


  • 対策ニーズは8割超。対象はドライバー(77.02%)と倉庫(60.48%)が中心

  • 実施は進む一方、課題は「効果が限定的(46.77%)」と「コストが高い(31.45%)」

  • 2026年に向けては、最新ウェア導入だけでなく「水分・塩分補給の見直し(35.33%)」と「職場環境改善(42%)」が強く求められている

調査結果

1)調査対象の企業規模

今回調査した会社の従業員規模は、500名以上が46.33%で最多でした。次いで50〜99名(18.0%)、50名未満(17.67%)、100〜199名(11.0%)、200〜499名(7.0%)。
一定以上の組織規模では、熱中症対策が安全衛生・労務の全社施策として動きやすい一方で、職種差によって求める機能やイメージも違ってくるので注意が必要です。

2)ユニフォーム導入は「全従業員」が55%。ただし4割は“部分導入”

ユニフォーム(作業服)の導入規模は、

・全従業員:55%
・部署・職種ごとに一部:41%
・その他:少数

運送・輸送業は、ドライバー、倉庫、事務、営業などで環境が大きく違います。「一部導入」が4割あるのは、現場環境に合わせた最適化が必要だという実態の表れです。

3)熱中症対策は「必須」45%、「部分的に必要」38%で、8割以上を占める

・必須で実施:44.67%
・部分的に必要:38.0%
・特に必要としていない:17.33%

“やる・やらない”ではなく、どの職種・どの場面に、どの対策を当てるかが課題になっている段階といえます。

4)費用は会社負担が多い(59%)

・会社負担:59.33%
・会社と従業員それぞれ:24.67%
・従業員負担:16.0%

会社負担が中心の場合、従業員の入れ替わりが多かったり、使われていないと意味がないので、導入判断は“物”の比較だけでなく、管理体制や定着まで含めた設計が必要になります。

5)対策が必要な職種は「ドライバー」77%、「倉庫」60%が2大トップ

・ドライバー:77.02%
・倉庫スタッフ:60.48%
・営業スタッフ:26.21%
・管理部門:18.15%
・その他:4.84%

運送業の熱中症対策は、実質 「ドライバー導線」×「倉庫導線」 の2本柱。ここを中心に設計できるほど、効果・満足度・コスト効率が上がるといえます。

6)場所は「屋外」83%が最多。

・屋外(配送・運搬など):83.06%
・屋内(倉庫・仕分けなど):64.11%
・車両内:38.31%

車両内は冷房が効くこともあり、それよりも、積み降ろし・仕分けの高負荷シーンがボトルネックになりやすいことが読み取れます。屋外はもちろんですが、倉庫などでの屋内作業における熱中症対策は非常に重要といえます。

7)選定基準は「涼しさ・冷却効果」が圧倒的。次は「動きやすさ」

優先順位(上位3つ)では、冷却効果が最重要、続いて動きやすさ(軽量・ストレッチ等)、耐久性が重視されています。

ここは、ダイイチの既存記事でも「冷却効果」「着心地・動きやすさ」が選定の中心になる傾向が示されており、現場の意思決定軸として一貫しています。

参考:前回調査(熱中症の意識調査から紐解く、現場が求めるユニフォーム)

やはり一般的な事務制服と違い、デザインよりも機能性が重要であることが確認できます。

8)2025年夏に使われた対策は「水分・塩分」69%が主役。ウェア型は伸びしろあり

・水分・塩分補給品:68.95%
・ファン付きウェア:37.9%
・冷感インナー:26.61%
・帽子・キャップ:26.21%
・ネッククーラー:23.39%
・保冷剤・冷却ベスト:14.92%
・水冷式ウェア:4.4%(少数)
・ペルチェ系は少数

現状は「確実に回る」補給系が中心。これは、ユニフォームとは系統が違うので、それ以外に注目すると、ファン付きウェアが約4割まで来ており、他に冷却インナーやネッククーラー、キャップなどが使用(=重視)されていることが分かります。

9)満足度は「概ね満足」54%が最多だが、「あまり満足していない」が29%

・概ね満足:54.03%
・あまり満足していない:29.03%
・とても満足/不満がある:残り

“悪くはないが、決め手に欠ける”層が約3割。ここをどう減らすかが、2026年の改善テーマになるといえるでしょう。

10)課題は「効果が限定的」47%が最多。次に「コストが高い」31%

・効果が限定的だった:46.77%
・コストが高い:31.45%
・従業員の使用率が低かった:16.94%
・運用が難しかった:16.53%
・その他:1.44%

「高い」より先に「効かない」が来ています。つまり多くの現場は、コストそのものより“コストに見合う実感”を求めている状態です。ダイイチの別調査でも、導入コストや使用率、効果実感が課題になりやすい点が示されています。

11)2026年に向けて新たに検討したい対策は「水分・塩分の見直し」が最多(35%)

・水分・塩分補給方法の見直し:35.33%(最多)
・最新のファン付きウェア:33.0%
・高機能冷感インナー:27.33%
・作業環境改善(シェード・換気など):23.0%
・保冷剤・冷却ベスト:22.67%
・教育・研修強化:12.0%
・最新のペルチェプレート付きウェア:10.67%
・その他:6.67%

水分・塩分の補給方法が1位になっているのは、先ほどの「効果が限定的」という不満を踏まえ、“まず確実に効く運用を固めたい”という意識の現れともいえます。やはり、効果を実感してもらえるような熱中症対策のユニフォームが鍵となります。

2026年に重視したいテーマは「職場環境の改善」42%と「コスト・効率化」36%

・職場環境の改善:42.0%(最多)
・コスト削減や効率化のノウハウ:36.0%
・熱中症対策商品の最新トレンド:29.67%
・夏季の安全対策事例紹介:25.33%
・その他:少数

ウェアなどの対策だけではなく、そもそも職場環境を改善させ熱中症リスクを抑えるといった視点が求められています。その上で、熱中症対策に求められているのは商品情報だけではなく、コスト削減や効率化といった“再現性のあるやり方”です。

「どの職種・どの場所に・どの組み合わせが効くか」「どう回せば定着するか」ここまで落とし込めると、満足度が一気に上がるといえます。

考察

運送・輸送業の熱中症対策は「アイテム導入」だけでは成果が出にくい

今回の結果をまとめると、つまずきやすいのはここです。

・導入はした(必要性も高い)
・でも効果が弱い/現場で着用されない
・結果として「効果が限定的」「コストが高い」に収束する

そのため、2026年に向けた現実的な打ち手は、次の3つです。

①職種別に分ける(ドライバー/倉庫で“勝ちパターン”を別設計)

同じウェア型でも、短時間高負荷の積み降ろしと、長時間連続作業の倉庫では最適解がズレます。職種別に分けると、さらに効果的で満足度が高い導入につながるといえます。

②「冷却効果 × 動きやすさ」を最優先にする(選定基準を明文化)

現場の声の優先は重要です。今回の調査で重要視された「冷却効果」「動きやすさ」を選定基準にしていくと良いでしょう。

③“使われる仕組み”までセット化する(運用で差がつく)

・いつ着るか/誰が管理するか
・充電・洗濯・保管はどう回すか
・サイズ展開・フィッティングのやり方
・現場フィードバック→入替サイクル

ここまで気を配れると、同じ予算でも導入メリットの効果が飛躍的にアップします。

ユニフォームの運用や管理については、創業70年以上1万社以上の支援をしてきたダイイチには知見がたくさんありますので、お気軽にご相談下さい。

まとめ

2026年の熱中症対策では「環境改善+運用見直し+ウェア型最適化」の3つが鍵

運送・輸送業では、熱中症対策ニーズが8割を超え、特に屋外・倉庫・積み降ろしの現場で必須です。一方で課題は「効果が限定的」「コストが高い」といった意見が多く出ました。

これらを踏まえながら、2026年に向けては、現場の根本的な環境改善であったり、熱中症対策ウェアの運用/管理方法の見直し、そして最適なウェアを選ぶことが重要であるといえます。

2025年6月には熱中症対策の法改正もあり、2026年以降は熱中症対策ニーズがさらに高まり、需要も増えると予測されます。